株式市場で成功するためには、企業の業績や経済指標を分析するだけでなく、「投資家心理」を読むことも非常に重要です。多くの人が熱狂して株を買っているときは高値掴みのリスクがあり、逆に恐怖で投げ売りしているときは絶好の買い場となることがあります。
今回は、そんな市場心理を客観的に数値化した「恐怖指数」を使って、賢く買い時を見極める方法をご紹介します。
「人の行く裏に道あり花の山」― 恐怖指数の基本戦略

相場の格言に「人の行く裏に道あり花の山」という言葉があります。これは、多くの人が見向きもしないような逆の行動を取ることで、大きな利益を得られるチャンスがあるという意味です。
株式投資において、市場全体がパニックになり、多くの投資家が恐怖から株を投げ売りしている状況は、まさにこの「人の行く裏」にあたります。優良な企業の株価まで不当に安くなっているこのタイミングこそ、安値で仕込む絶好の機会となり得るのです。
この「市場の恐怖」を客観的に測るために使われるのが、「Fear & Greed Index」や「日経平均VI指数」といった「恐怖指数」です。
1. Fear & Greed Index(恐怖と強欲指数)

CNN Businessが提供している、アメリカ市場の投資家心理を示す代表的な指標です。市場の「Fear(恐怖)」と「Greed(強欲)」のどちらに傾いているかを0から100の数値で示します。
- 0に近いほど「Extreme Fear(極度の恐怖)」:市場は悲観的で、売りが優勢。
- 100に近いほど「Extreme Greed(極度の強欲)」:市場は楽観的で、買いが過熱気味。
活用法:恐怖の極みで仕込む
一般的に、この指数が20を下回り「Extreme Fear」の領域に入ったときが、逆張りの買い場とされています。市場が過度に悲観的になっているため、多くの銘柄が割安になっている可能性が高いからです。
このタイミングで、かねてから狙っていた優良企業の株式や、S&P500などのインデックスファンドを少しずつ買い増していくのが有効な戦略です。
2. 日経平均ボラティリティ・インデックス(日経平均VI指数)

こちらは日本市場版の恐怖指数です。日経平均株価が将来どれくらい変動するか、投資家の予測を数値化したものです。
- 数値が高い:市場の先行きが不透明で、投資家が大きな価格変動(主に下落)を予想しており、恐怖心が高まっている状態。
- 数値が低い:市場が安定しており、投資家が安心している状態。
活用法:指数急騰時にチャンスを探る
通常、日経平均VIは10~20程度で推移しますが、金融危機やパンデミックなどのショックが起こると急騰します。この指数が28や30を大きく上回ったタイミングは、市場がパニックに陥っていることを示します。
これもまた、冷静な投資家にとっては絶好の買い場となり得ます。周りが狼狽売りをしている中で、将来性のある日本株を安く手に入れるチャンスです。
2つの指標を組み合わせた最強の買いシグナル

より確度の高い買い場を探るなら、これら2つの指標を組み合わせるのがおすすめです。
「Fear & Greed Indexが20を下回り、かつ日経平均VIが28を上回る」
このような状況は、アメリカ市場と日本市場の両方で投資家が極度の恐怖に陥っていることを意味します。世界的な株安が起きている可能性が高く、多くの優良株がバーゲンセール状態になっているかもしれません。
注意点:焦りは禁物!資金管理が鍵

ただし、この手法には注意点もあります。
- 底値は見極められない:「恐怖指数がピークに達したから、ここが底値だ」と判断するのは困難です。「落ちてくるナイフはつかむな」という格言もある通り、下落がどこまで続くかは誰にも分かりません。
- 資金管理を徹底する:一度に全資金を投じるのは非常に危険です。暴落時こそ、複数回に分けて購入する「分割投資」を心がけましょう。これにより、購入価格を平準化させ、高値掴みのリスクを減らすことができます。
- 投資対象は慎重に選ぶ:あくまでこの手法は「買い時」の目安です。何を買うかが最も重要であり、長期的に成長が見込める優良な企業や、信頼できるインデックスファンドを投資対象にすることが大前提です。
まとめ

「恐怖指数」は、感情に流されがちな個人投資家にとって、市場の雰囲気を客観的に捉え、冷静な判断を促すための強力な武器となります。市場のパニックをチャンスに変え、賢く資産を増やすための一つの指標として、ぜひ日々の投資判断に取り入れてみてはいかがでしょうか。