「FXの自動売買(EA)で稼ぎたい」
そう意気込んで開発を始めた私が、数々の失敗の末にたどり着いた結論。
それは、「一人のスーパーマン(聖杯)を作ろうとしてはいけない」ということでした。
相場には「レンジ」もあれば「トレンド」もあります。それら全てに対応できる完璧なプログラムなど存在しません。
そこで私は発想を変えました。
「得意分野が違うスペシャリストを複数作って、チームで稼がせればいいんじゃないか?」
私は開発した3つのプログラムに、親しみを込めて「ジョージ」「ケン」「スティーブ」というコードネームを付けました。
本記事では、私の口座を守るこの「最強の3人」の正体(ロジック)と、彼らが完成するまでの全記録を公開します。
第1章:私のチームメンバー紹介(ロジック解説)

まずは、今回開発に成功した3つのプログラム(EA)を紹介します。
彼らは全員、AUDNZD(豪ドル/NZドル) というレンジ相場になりやすい通貨ペアを主戦場としています。
🛡️ 守りの要:George(ジョージ)
- 正式名称:Range_Reversal_RSI
- 性格:「堅実・慎重」
- ロジック:RSIの逆張り
- 「売られすぎ(RSI 35以下)」や「買われすぎ(RSI 65以上)」になるまでじっと待ち、行き過ぎた価格が戻る習性を利用して利益を取ります。
- 役割
- チームのリーダー。派手さはありませんが、毎日コツコツと確実に利益を積み上げ、口座のベースを作ります。
🔫 一撃のスナイパー:Ken(ケン)
- 正式名称:Bollinger_3sigma_Sniper
- 性格:「一発屋」
- ロジック:ボリンジャーバンド3σ(シグマ)
- 統計学的に「99.7%起こらない」とされる異常値(3σ)にタッチした瞬間だけエントリーします。
- 役割:
- 滅多に働きません(年に数回)。しかし、相場がパニックになった時にだけ現れ、大きな利益(ボーナス)を持って帰ってきます。
⚡ 特攻隊長:Steve(スティーブ)
- 正式名称:CCI_Speed_Scalper
- 性格:「せっかち」
- ロジック:CCI(商品チャネル指数)
- RSIよりも反応が速い「CCI」という指標を使います。ジョージが反応する前の「小さな波」を素早く検知してサッと抜きます。
- 役割:
- 回転率アップ担当。ジョージが動かない静かな相場でも、細かい利益を拾い集めてくれます。
第2章:失敗の連続だった「トレンド手法」

最初からこの3人がいたわけではありません。
開発初期、私は「Ben(ベン)」や「Misery(ミザリー)」というトレンドフォロー型のプログラムを作っていました。
- Benのロジック:移動平均線がクロスしたら順張り
- Miseryのロジック:高値を更新したら順張り
教科書通りの手法ですが、バックテストの結果は「惨敗(右肩下がり)」。
現代の相場はAIによる「ダマシ」が多く、トレンドに乗ろうとした瞬間に逆行して損切りされる「往復ビンタ」を食らい続けたのです。
「トレンドを追いかけるのは無理だ。相場の7割を占める『レンジ(横ばい)』だけを狙おう」
そう決意して作ったのが、今のリーダー「ジョージ」でした。
第3章:6年で資産3倍。ジョージの快進撃

ジョージ(レンジ逆張り)を、レンジ相場の王様である通貨ペア AUDNZD に投入し、過去6年間(2020〜2025)のデータを検証しました。
- 結果: 資産が約3倍(+180%)に増加
- 勝因
- コロナショックや円安トレンドなどの「異常事態」でも破綻せず、ひたすらレンジ相場で利益を出し続けたこと。
- 「M5(5分足)」 という短期足で、1回30pips程度の利益を積み重ねる「デイトレード」スタイルが、手数料負けせず最も効率が良かったこと。
しかし、ジョージにも弱点がありました。「慎重すぎて取引回数が少ない」のです。
そこで、ジョージの弱点を補うためにスカウトされたのが、ケンとスティーブでした。
第4章:100万円運用の「落とし穴」

開発の最後に、大きな壁にぶつかりました。
資金1万円でテストした時は順調に増えたのに、資金を100万円に設定した途端、利益率がガクンと落ちたのです。
原因は「国内FXのレバレッジ規制(25倍)」でした。
- 資金1万円: 天井(取引上限)まで余裕があるため、複利でガンガン攻められた。
- 資金100万円: 注文量が大きくなりすぎて、すぐに規制の天井に頭をぶつけ、エントリーがキャンセルされていた。
【解決策】
資金が増えてきたら、リスク設定(攻め具合)を 5.0%から2.0%に下げる こと。
これにより、注文がスムーズに通るようになり、再び資産が増え始めました。
「資金量に合わせてアクセルを調整する」重要性を学びました。
まとめ:最強の布陣で挑む

最終的に完成した私の運用ポートフォリオは以下の通りです。
- 証券会社:楽天証券 MT4
- 通貨ペア:AUDNZD
- チャート構成
- George(安定型)
- Ken(一撃型)
- Steve(速攻型)
この3つのEAを同時に稼働させることで、「安定感」「爆発力」「回転数」のすべてをカバーできます。
FX自動売買は、魔法ではありません。
しかし、「適材適所」で人材(ロジック)を配置すれば、これほど頼もしい資産形成ツールはありません。
もしこれからEAを作るなら、一つの最強ロジックを目指すのではなく、「得意分野が違うチームを作る」という視点を持ってみてください。世界が変わって見えるはずです。


