FX(外国為替証拠金取引)を始めようと思ったとき、まず目にするのがアルファベット3文字の「通貨コード」です。
「USD/JPY」はなんとなく分かっても、「TRY」や「ZAR」となると、どこの国の通貨か分からないという方も多いのではないでしょうか。
世界には約180種類以上の通貨が存在しますが、FXで取引対象となるのはその中の一部です。
しかし、その一部といっても数十種類に及び、それぞれに「値動きの激しさ」や「金利の高さ」といった個性があります。
この記事では、FXで取引される主要な通貨から、一攫千金を狙えるマイナー通貨まで、その種類と特徴を一覧で解説します。
世界の取引を支配する「メジャー通貨(主要8通貨)」

FX市場で圧倒的な取引量を誇るのが「メジャー通貨」です。
流動性(売買のしやすさ)が高く、情報量も多いため、初心者からプロまで幅広いトレーダーが取引しています。
まずは、この「主要8通貨」を押さえておきましょう。
① USD(米ドル)
- 特徴: 世界の基軸通貨。
- 解説: すべての通貨の中心的存在です。経済指標(特に雇用統計)の発表時には相場が大きく動きます。初心者から上級者まで、取引するなら避けては通れない通貨です。
② EUR(ユーロ)
- 特徴: 第2の基軸通貨。
- 解説: 欧州連合(EU)の単一通貨。米ドルに次ぐ取引量を誇り、特に「ユーロ/米ドル(EUR/USD)」は世界で最も取引されている通貨ペアです。
③ JPY(日本円)
- 特徴: アジアの主要通貨・安全資産。
- 解説: 私たちの自国通貨であり、世界3大通貨の一つ。低金利が長く続いていますが、市場が混乱した際に「有事の円買い」として買われる傾向があります。
④ GBP(ポンド)
- 特徴: かつての基軸通貨・殺人通貨。
- 解説: イギリスの通貨。値動き(ボラティリティ)が非常に激しく、短期間で大きな利益(または損失)が出やすいため、「殺人通貨」という異名を持ちます。中・上級者に人気です。
⑤ AUD(豪ドル)
- 特徴: 資源国通貨の代表格。
- 解説: オーストラリアは鉄鉱石や石炭などの資源が豊富です。そのため、資源価格の上昇や、最大の貿易相手国である中国の経済状況に影響を受けやすい特徴があります。
⑥ NZD(ニュージーランドドル)
- 特徴: オセアニア通貨。
- 解説: 隣国であるオーストラリア(豪ドル)と似た動きをする傾向があります。乳製品の輸出が盛んなため、国際的な乳製品価格の影響を受けることもあります。
⑦ CAD(カナダドル)
- 特徴: 北米の資源国通貨。
- 解説: 産油国であるため、原油価格の変動と連動しやすいのが最大の特徴です。隣国アメリカ経済との結びつきも非常に強い通貨です。
⑧ CHF(スイスフラン)
- 特徴: 安全資産(永世中立国)。
- 解説: スイスは永世中立国であり、世界情勢が不安定になった際に「避難先」として買われやすい通貨です。日本円と似た動きをすることがよくあります。
金利狙いで人気!「新興国通貨(高金利通貨)」

取引量はメジャー通貨に劣りますが、高い政策金利を背景にした「スワップポイント(金利差益)」狙いの投資家に人気なのが新興国通貨です。
大きなリターンが見込める反面、政情不安などで暴落するリスクもあるため、資金管理が重要です。
- TRY(トルコリラ): 超高金利で有名ですが、インフレ率が高く、価格変動リスクも非常に高い「ギャンブル性の高い」通貨です。
- MXN(メキシコペソ): アメリカの隣国であるため、新興国の中では比較的値動きが安定しており、スワップ狙いの初心者に人気上昇中です。
- ZAR(南アフリカランド): アフリカ大陸を代表する通貨。金やダイヤモンドなどの資源価格に左右される資源国通貨の一面も持ちます。
その他のマイナー・エキゾチック通貨

FX会社によっては、さらに多くの地域通貨を取り扱っています。
アジア・オセアニア地域
- CNH / CNY(人民元): 中国。経済規模は巨大ですが、政府の管理下にあるため、自由な値動きが制限されることがあります。
- HKD(香港ドル): 米ドルと連動する「ドルペッグ制」を採用しているため、値動きは限定的です。
- SGD(シンガポールドル): アジアの金融センター。比較的安定しています。
欧州(北欧・東欧)地域
ユーロを導入していないヨーロッパ諸国の通貨です。
- SEK(スウェーデンクローナ)
- NOK(ノルウェークローネ)
- PLN(ポーランドズロチ)
- HUF(ハンガリーフォリント)
初心者はどの通貨から始めるべき?

これだけ多くの通貨があると迷ってしまいますが、初心者が選ぶべき通貨ペアは明確です。
おすすめ:USD/JPY(米ドル/円)
理由
- 情報が入手しやすい: 日本のニュースで毎日のように報道されます。
- スプレッド(手数料)が狭い: コストを安く抑えられます。
- 動きが素直: 突発的な乱高下が比較的少ないため、チャート分析の練習に最適です。
次のステップ:EUR/USD(ユーロ/米ドル)
世界で一番取引されているペアです。トレンド(流行)が発生すると長く続きやすいため、テクニカル分析を覚えたあとのステップアップにおすすめです。
まとめ

FXの通貨は、大きく分けて「安定と流動性のメジャー通貨」と「高金利と変動リスクのマイナー通貨」に分類できます。
- 堅実に利益を積み重ねたい
→→米ドル、円、ユーロ - 値動きで大きく稼ぎたい
→→ポンド - 金利(スワップ)でコツコツ稼ぎたい
→→メキシコペソ、豪ドル
自分の投資スタイルやリスク許容度に合わせて、最適な通貨ペアを見つけてみてください。
まずは「米ドル/円」で相場の感覚を掴むところからスタートしましょう!


